仰げば尊し

恩師・T先生の退官記念講演会＆パーティに出かけた。
ものすごく大勢の参加者に紛れて
数少ない同期との再会に感激し喋りまくった。

T先生の研究室で過ごしたのはわずか1年のことなのに
ひょっとすると青春を謳歌した大学4年間よりも
濃いものであったかもしれない。
それは、6年勤めていた銀行を辞め
資格取得のために真摯に学ぼうとしたからということと、
そして、T先生の個性によるところも大きいだろうと思う。

T先生は、私のバックグラウンドを面白がり
いろんなところに連れて行ってくださった。
雑用とか接遇とかが完璧に（現役女子大生に比べればね）
こなせるところが重宝されたんだと思う。

病院や施設、各種研究会といった仕事関係はもちろん
梅田に出来たばかりのブルーノートとか
風変わりなエスニックなお店とか
そのミーハーさったら私など足元にもおよばない。
私もバブルで稼いだ貯えとシングルならではのヒマを
先生と研究室のために費やし、大いに楽しませてもらった。

T先生は唐突に予言めいたことを口走ることがあって
でもそのことをご本人は丸っきり覚えておられず
はっきり言って、無責任極まりないのだけれど
妙に心に染み付いていたりする。

例えば、私が、ある時、約束の日時を間違えて行動してしまい
でも、それが思いがけずラッキーな結果になった時
「あなたはそういう人なのかもしれませんね」
このことばはそれからずっと私に自信を与えてくれている。

そういえば最初にこの仕事をしたいって相談に行った時
「十年かかってなんとか一人前になれると思いなさい」
って言われたっけ。
それからなんとひと昔以上が経過してしまったけれど
まだまだ一人前には程遠い自分が恥ずかしい。

今日のT先生のお話の中で印象深かったことば。
「障害は病気ではない。
　病気だったら医者が治せばいい。
　治らないのが障害。治らないから障害。
　治らないものを治そうと思うからストレスになる。
　治らないけれど
　治らないものをどうすればうまくやっていけるか
　それを考えていくのが私たちの仕事」
　
そうなのか？
そうなのか。。。